深夜1時、僕らの海には向かって右側に刈羽原発という原子力発電所があります。たくさんの灯りがそこに見えるんだけど今日とかはちょっと違って、夏休みなんだな、浜辺で各々ちょっとした打ち上げ花火をあげるグループがいくつか点在していて。まっ黒な海と浜辺にはいつもの遠い灯りともうひとつ、ときどき近くにも花火の光が散らばったりして、あと月が雲のかげでにじんでいました。僕らはといえばひっそりとうきわをうかべて、月と花火と雲と景色のシルエットをぷかぷかと眺めていました。
黒い波の上から浜を眺めると月の灯りの下にぼんやり幼馴染みの姿があって、そのあたりからときどき聞こえる僕を呼ぶ声。僕は、んー、とか言いながら彼女たちのシルエットの向こう側にときどきあがる花火を上下逆に見てみたりして、上から下に落ちてはじけて大好きな仲間を照らすその花火を黒い揺れの上でぷかぷか眺めてたら、ひょっとして僕はしんじゃったんじゃないかと思えました。それくらい、とっても遠くからその大切な時間を眺めているような気がしていました。